2024.04.03コラム
令和6年度から、処遇改善加算制度が生まれ変わります。
今までの3つの加算が一本化され、「介護職員等処遇改善加算」となります。
今回の改定により、加算の区分や要件が大きく変わり、事業所にとっては見直すべき点が多くあります。
しかし、制度内容が大幅に改定され、一度に多くの見直しが必要となるため、1年間の経過措置期間が設けられています。
新しい制度自体は、令和6年6月から始まりますが、令和7年3月まではこれまでと同様の加算を取得することが出来ます。
ただし、令和7年3月中までの経過措置期間中に要件を整える必要があり、
それができない場合は、令和7年4月以降は、これまでと同様の加算は取得できなくなります。
では、令和7年3月までに整えるべき要件5つを具体的に見ていきましょう。
①職場環境等要件の見直し
②月額賃金の改善(新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金で配分する)
③ベースアップ等支援加算相当の2/3以上を月額賃金により改善する
④昇給の仕組みの整備
⑤任用要件・賃金体系の整備及び研修の実施
①職場環境等要件の見直し
職場環境等要件については、内容が見直しされたうえ、事業所として取り組むべき項目が大幅に増えます。
職場環境等要件には6つの区分があります。取り組む数は取得する加算により若干異なりますが、
今後はその6つの区分ごとにそれぞれ1つ以上(新加算Ⅲ・Ⅳ)もしくは2つ以上(新加算Ⅰ・Ⅱ)取り組む必要があります。
加えて、「生産性向上のための業務改善の取組」については、さらに重点的に取り組む必要が出てきそうです。
②月額賃金の改善(新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金で配分する)
サービス区分により加算率は異なりますが、いずれのサービスの場合であっても、「新加算Ⅳ」に該当する加算額の1/2以上にあたる金額を、
月額賃金で配分する必要があります。たとえ新加算Ⅰ~Ⅲを算定する場合でも、該当するサービス区分の新加算Ⅳの加算額が基準となります。
ここで注意が必要なのは、今まで一時金のみで賃金改善を行っていた事業所です。令和7年4月以降は、「月額」賃金を改善する必要がありますので、
毎月の基本給や決まって支払われる手当等により賃金改善を行う用意が必要です。
③賃金改善の合計額の2/3以上をベースアップ等とする
こちらは、これまでにベースアップ等支援加算を算定していた事業所は、新たに対応を検討する必要はありません。
過去にベースアップ等支援加算を算定しておらず、令和7年4月以降に新加算を算定する事業所は、
現行のベースアップ等支援加算に相当する部分について、2/3以上を月額賃金により改善する必要があります。
こちらも、②同様に今まで一時金のみで賃金改善を行っていた事業所は、「月額」での賃金改善を行う用意が必要です。
④昇給の仕組みの整備
こちらは、新加算Ⅰ~Ⅲを算定予定で、加えて現行の処遇改善加算のⅠを算定していない事業所が対象です。
「キャリアパス要件Ⅲ:資格等に応じた昇給や定期昇給等の仕組みを設ける」を満たすための整備が必要となります。
具体的には、仕組みを設けたうえで、それを就業規則等に明記し、すべての介護職員に周知する必要があります。
⑤任用要件・賃金体系の整備及び研修の実施
こちらは、新加算Ⅰ~Ⅳを算定予定で、加えて現行の処遇改善加算のⅢを算定している事業所が対象です。
「キャリアパス要件Ⅰ:任用要件と賃金体系を整備すること」及び「キャリアパス要件Ⅱ:研修の実施又は研修の機会を確保すること」の両方が
必要となります。
具体的には、賃金体系等を定めて就業規則等に明記するほか、介護職員の資質向上のために研修の実施等を行い、
このどちらについてもすべての介護職員に周知する必要があります。
この要件は、新加算Ⅳ(最も加算率が低い区分)においても要件となりますので、新加算を算定するすべての事業所は、対応しておく必要があります。
この要件に対応できない場合は、新加算を算定することができなくなります。
いかがでしょうか。
まずは、現在算定している加算と、令和7年度から算定したいと考えている加算を比較して、
事業所として何に取り組まなければならないのか考えてみてください。
経過措置期間に、計画的に要件を整えて、スムーズに令和7年度を迎えられるようにしておきましょう。
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