2017.04.26コラム
もうすぐ、平成28年度介護職員処遇改善加算の実績報告の時期です。実績報告準備の前に、受給した介護職員処遇改善加算額を上回る賃金改善ができているかどうかの確認とともに、適切な処遇改善処理ができているかを確認する必要があります。
平成29年度介護職員処遇改善加算届出における行政の着目点を踏まえてポイントを説明します。
実地指導、調査で次のような事例が見つかっています。
事例1)処遇改善制度が始まるまでは介護職員にも定期的に賞与を支給していた。この制度が始まり持ち出しを控えたい意図から介護職員のみ定期賞与を支払わなくなった。
事例2)法定福利費の算出根拠は?
(平成29年4月現在)
法定福利費(事業主負担) | 率(%) |
健康保険料 | 5.120 |
健康保険料(介護保険あり) | 5.945 |
厚生年金保険料 | 9.091 |
子ども・子育て拠出金 | 0.200 |
雇用保険料 | 0.600 |
労災保険料 | 0.302 |
賃金改善額に応じた事業主負担分の法定福利費も賃金改善額に含めることができますが、合理的な計算に基づいて算出できているか確認して下さい。
ポイント1
前年度の保険料と今年度の保険料の単純な差し引きで計算していない
ポイント2
全員の賃金改善額に事業主負担分の16.138%(健康保険料(介護保険あり))を掛けていない
ポイント3
法定福利費は、一人ひとり保険の加入状況に合わせて算出している
事例3)就業規則を職員に通知していますか?
本来、労働基準法で就業規則は、常に各事業所の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、職員に周知しなければなりません。
就業規則の賃金表、評価表の内容を職員に説明することにより、どんなキャリアを積めば賃金アップに繋がるのかが明確になります。そうすることで、職員一人ひとりが仕事に対する取り組み方が変わり、介護の質もよくなります。また、職場全体の環境も良くなり、人材の確保、定着率のアップに繋がります。
介護保険では、平成29年度介護職員処遇改善加算申請から、キャリアパス要件Ⅲが追加され、就業規則等厳しくチェックされています。就業規則等での定め、仕組みがきちんと運用でき、実地指導調査時に説明できる書面等を提示できるように保管しておいて下さい。